令和5年度高性能林業新機械(タワーヤーダ)導入研修会を開催

山形県森林協会では、12月12日に鶴岡市鼠ヶ関地区で高性能林業新機械(タワーヤーダ)導入研修会を開催しました。山形県林業統計(令和3年)によれば、県内で高性能林業機械は201台が保有されていますが、まだタワーヤーダは導入されていません。このため、今回の研修会は大きな関心を集め、林業事業体や行政機関等から56名の参加がありました。

◆はじめに

温海町森林組合では、急傾斜地により作業道開設が困難な場所などでの間伐や皆伐等の集約化を考えた場合、架線技術の習得も必要となることから、作業エリアの拡大を目指し架線系作業システムを導入し、昨年度の試験導入に引き続き、今年度から本格的に作業を行っています。県内ではタワーヤーダによる集材に取り組んでいる事業体がないため、温海町森林組合からの全面的な協力を得て、鼠ヶ関地区越深団地で研修会を開催しました。

◆作業計画

最初に温海町森林組合の現場責任者から越深団地での施業計画とタワーヤーダ設置について説明がありました。

同団地の面積は70haで、作業道による車両系の搬出(定性間伐15ha)とタワーヤーダによる架線系の搬出(同25ha)を組み合わせて施業します。上の計画図の破線がタワーヤーダの架線設置、実線が作業道で、地形に合わせて区域を分けますが、タワーヤーダで広い面積をカバーできることが分かります。

今回のタワーヤーダの設置について、作業内容ごとに人工数の説明があり、約3日7人の作業であったことが説明されました。1年ぶりの作業で日数がかかったが、慣れてくると短縮できるのではないかとのことでした。

◆タワーヤーダ

使用しているタワーヤーダ ワンダーファルコンは、オーストリアのマイヤーメルンホフ・フォレストテクニック社製で、同社の日本総代理店である緑産株式会社(神奈川県相模原市)からファルコンの安全性能と優れた特性を説明してもらいました。主索の最長距離は800m程度、最大吊上げ荷重は2t、主索から70mの横出し作業が可能です。特に、材を吊下げる搬器については、エンジンが搭載されておらず、2本のワイヤーで走行させるシステムで搬器を軽量化し、高速運転を可能にしています。吊上げる場所に自動的に停止するなどの制御システムが組み込まれており、先山と元山の2名体制での集材が可能である。リモコンシステムは、その作業者が自動的に操作権を有し、誤操作などの人為的ミスをなくした安全作業を実現することができる等の説明がありました。

搬器の構造と3線システムを説明

 説明後、タワーヤーダによる集材を見学しましたが、間伐材を吊下げて運ぶ搬器のスピードが速く、驚きの声があがっていました。

◆おわりに

 研修が終わり、参加者からは「タワーヤーダを見る機会はなかったので貴重な研修だった」、「架線の研修について内陸でもやってほしい」などの感想や要望が寄せられました。

〔山形県森林協会〕