山形県内でも高性能林業機械の導入が年々増加しています。高性能林業機械の導入は、労働生産性の向上、生産コストの低減、労働強度の軽減等に大きく貢献しています。
しかし、高性能林業機械の導入が進んでくると、林業機械による労働災害の増加が懸念されます。
このため、林業における労働災害と高性能林業機械を安全に使用するための機械点検・取扱いについて、株式会社レンタルのニッケン様にまとめていただきました。
◆林業の労働災害
林業の労働災害は、近年は減少傾向にあるものの、他産業と比較した千人率では、林業は圧倒的に高い数値となっています。
チェーンソーによる死亡事故は全体の約7割を占めている一方で、林業機械における死亡事故も約2割を占めるなど一定数事故が発生しています。また、林業機械による事故は労働災害が発生した際の死亡率が圧倒的に高く、人命にかかわる大きな事故になりうる可能性が高いことがうかがえます。
このような林業機械による重大な事故を減らすために、
○ 機械作業で起こる「ヒヤリ・ハット」事例または事故事例から、発生要因を把握し、事故予防のKY活動ができないか。
○ 日々の機械管理・点検、適切 な機械取扱い・使用方法により故障や整備不良による事故を防げるのではないか。
○ 正しく機械を扱うことにより、修理コスト等を抑えられるのではないか。
といったような課題を解決していくことが大切です。
◆安全に使用するための機械点検・取扱い
油圧ショベルメンテナンスを怠ると故障はおろか人命を脅かす存在になります。また、昨今では排気ガス規制の強化により、高度な技術を投入したディーゼルエンジンが使用され、燃料やオイルのグレードも高水準なものを使用しないと機械寿命を縮める原因になります。普段お使いいただいている機械を、安全安心に長持ちさせるための点検・取扱いについてご紹介いたします。
○グリスアップの重要性
毎日アタッチメント各部の点検を行い、グリスが不足している場合は給脂を行います。
特にバケット周りは土砂などを噛み込んで摩耗しやすいため、こまめにグリス給脂を行いましょう。給脂が不足すると接続ピン部の摩耗や損傷、ロックボルトの脱落等につながります。
バケット取り付け部のО-リングがついているか確認しましょう。無い場合は装着してください。
○機械操作の注意点
油圧シリンダのストロークエンドまでの作業は、油圧シリンダに無理な荷重が生じ、油圧シリンダやブーム、アームの損傷に繋がります。
作業前の動作確認の一環として、ストロークエンドの感覚を把握し、作業時は油圧シリンダに余裕を残した運転を心がけましょう。機械への負荷が軽減されることで故障を最小限に抑えることができ、コスト削減にもつながります。
○安全具装着の重要性
油圧ショベルは丈夫な機械で、転落時もキャブ内の安全スペースを確保しケガから守ります。危険から命を守るために、運転前はヘルメットとシートベルトの着用を確認し、ドアを閉めて作業しましょう。