より安全で施業の低コスト化を目指す高性能林業機械の開発

県内の高性能林業機械の導入は素材生産量の拡大とともに急速に進んでおり、令和元年は191台となっています。また、人力作業を高性能林業機械が担うことにより労働災害発生件数も減少傾向となっております。

その一方で、日本では、労災事故が最も多い伐木集材の一連作業を担う本格的な機械化が遅れており、かかり木等による労働災害が後を絶たない状況となっています。

これらを踏まえ、国内の他メーカーに先駆けて、労働災害防止と施業の低コスト化を両立し、伐木・集材システムを担う機械の開発に取り組まれている真室川町の(有)フォレストの髙橋等代表取締役からお話を伺いました。

◆ロングリーチ伐倒ソーの開発

国内にもテレスコピック(伸縮)構造のロングリーチの機械はありましたが、アームの強度が弱く変形や破損、使いにくいなどの欠点が散見されたそうです。このため、強度があり耐久性が高いとされるスウェーデン鋼で製造されたテレスコピック構造のロングリーチをフィンランドのメーカーから輸入し、自らの経験を基に使いやすさや作業の安全性を重点的に追及・改良を重ね、日本の作業にマッチングしたロングリーチ伐倒ソーを開発しました。

ベースマシンのブームに最大で14m伸びるテレスコピック構造のロングリーチアームを取り付け、先端には伐倒ソーとグラップルを装備した伐木から集材まで一連の作業を担える機械です。

これにより、作業範囲28m内での伐木及び木寄せ作業は1台の機械でこなせるようになり、作業の安全 性や省力化・効率化が飛躍的に向上しました。さらに、かかり木も発生しないというメリットも生じます。

根元直径60㎝程度までの伐木が可能で、一本の立木の伐倒から木寄せ集材までの平均時間は1分30秒程度で済むそうです。最大延伸長での最大荷重は約1.5トンと高性能です。

また、14m先の立木の伐倒作業を容易に安全・確実に行うため、国内メーカーでは初めて、アームの上下運動を制御するセンサーをロングリーチに取り付け、手元での操縦性を向上する改良も行っております。

この他、この機械のヘッドのグラップル利用又はヘッドに熊手状の改良部品を装着することにより地拵えなどにも利用できます。

髙橋社長は、納入者に対しある程度の修理のノウハウ指導等も行っており、常に機械の能力を最大限発揮できる環境づくりにも取り組んでおります。

◆導入事業体の感想

「これまでの人力作業が機械作業に置き換わり作業員の労働負荷が大きく減り、生産性のアップにもつながっている」、「操縦性がとても良く機械も壊れにくい」、「伐倒・集材のほかグラップルによる地拵えや枝葉移動など、多様な作業に利用できる」などの感想がありました。

(有)フォレスト様には、今後も使いやすく丈夫で、効率的に作業ができる機械の改良・開発をお願いいたします。