高性能林業機械ハーベスタ (イワフジ工業GPH-25)について

高性能林業機械の中でも幅広い作業をこなすハーベスタの最新モデルについて、イワフジ工業株式会社に紹介していただくとともに、林野庁補助事業として開発を進めているAIを活用した集材・造材マルチメディアシステムについてもご紹介いただきました。

●イワフジ工業

 当社は旧中島飛行機の疎開工場をルーツとし、1949年に開発したY-22型集材機に始まり、林業用トラクタ、自走式搬器、木材グラップル、プロセッサなど、当時の伐出作業に革新をもたらす数々の最新鋭機を世に送り出してきました。

 高性能林業機械においても、フェラーバンチャ、ハーベスタ、プロセッサ、スキッダ、フォワーダ、タワーヤーダ、スイングヤーダなどがありますが、当社はほぼ全てをラインナップしている林業機械の総合メーカーです。

●高性能林業機械(ハーベスタ)

 GPH-25 ハーベスタは、油圧ショベル 7tクラスのアーム先端に取り付けるアタッチメントで、木材を掴むカッタ、木材を掴み送り出すクローラ、枝払い用カッタ、木材が送り出される時に長さを計測するメジャリングユニット、木材を切断するチェンソーを装備し、立木の伐倒、枝払い、測尺玉切りを連続して行い、玉切りした丸太の集積作業までを一貫して行うことが出来ます。

  ①小型・軽量のハーベスタ

小型軽量によりオペレータの疲労軽減と作業安定性が確保されます。重量700㎏と当社最軽量機で、取り回しの安定性に優れます。

②逆送りをサポートするリアアーム

 材掴み後の逆送りをサポートするリアアームを装備します。

主な特徴は、以下の①~⑦になります。

③木材を掴み易い構造

 急傾斜に対応したチルトダウン角度(33度)と無段階姿勢制御により、ハーベスタの傾きを伐採された木材に容易に合わせることができるため、傾斜地の伐倒木を掴み易く、傾斜地からの引き上げ造材をスムーズにこなします。集積された木材同士の隙間に差し込みやすいストレートなカッタ形状。

④ソー切断能力向上

 油圧構成を見直し、木材の切断時間を短縮したことにより作業効率が向上しました。切断直径40㎝。

⑤仕上がりにもこだわった造材性能

チルト機能による伐倒作業が可能です。木材を確実に挟んで抱え上げる並行リンク機構を採用しています。太い枝も難なく落とせる3枚の幅広なカッタが確実に枝を払います。枝払直径7~30㎝。

⑥高耐久低摩擦スパイクローラチェーンを装備

 3列式の幅広クローラに装着された多数のスパイクにより材を確実に捉え、送り力を伝えます。摩擦抵抗が少ない滑り軸受けを内蔵したクローラにより、チェーンオイル消費量を軽減します。

⑦GP-CANコントローラを搭載

7インチカラー液晶ディスプレイに多彩な情報を表示します。感圧式タッチパネル採用により操作性が向上しました。ハーベスタの操作は、手元のノブスイッチで全ての操作が可能であり、一連の作業をレバーの持ち替え無しにスムーズにこなせます。精度の高い安定した測長性能を誇り、測長設定値を16種類(A・B・C・Dの4コード毎に4種類)登録可能です。樹種を4種類登録でき、個別に測長の補正が可能です。

電気系トラブルや禁止操作時に、エラー発生画面を表示する故障検知機能を搭載しています。

 材積集計機能を標準で搭載し、材積集計データの保存ファイル作成、各種設定、材積集計の詳細表示等が可能で、「長さ、直径別」「過去1週間分」「コード別」「樹種別」の材積集計データをキャビン内にて確認することができます。

 USBメモリに保存された材積集計データを専用ソフト「材積集計アシスト」で管理することができ、ハーベスタの材積集計を効率化できます。材積データの読み込みとマウス操作により、「長さ・直径別集計」、「コード別集計」、「樹種別集計」、「日付・月別集計」が簡単に行えます。材積集計アシストは当社ホームページからダウンロードできます。

●最新の林業機械

 令和5年度林野庁補助の事業で開発を進めている集材・造材マルチワークシステムは、搬送した木材を造材するプロセッサのキャビン内にいるオペレータが架線式グラップル周辺の立体映像を見ながら荷掛けを行える一人四役のワンオペ作業を可能とする取り組みです。立体映像は架線式グラップルの視点で撮影した地表映像を箱庭的な俯瞰視点で立体映像化し、その中に3DCG映像の架線式グラップルを合成したデジタルツイン映像表示です。デジタルツイン映像はオペレータが装着したARグラスに130インチサイズで表示されるので、地表の起伏や木材の形状など詳細な映像確認が可能です。ARグラスは透過型の眼鏡タイプで透明レンズに映像を表示するため、装着したまま現実世界も見えるので、集材と造材の作業を円滑に移行できます。

〔山形県森林協会〕