高性能林業機械メンテナンス研修会を開催

令和3年度制定の「やまがた森林ノミクス加速化ビジョン」で定められた評価指標、令和12年度県産木材供給量90万㎥(令和4年度58万㎥)の達成に大きな役割を果たするのが高性能林業機械です。高性能林業機械の導入は、労働生産性の向上、生産コストの削減、労働災害の低減など労働環境の改善に大きく貢献します。

県内でも高性能林業機械の導入が年々増加しており、令和3年度における保有台数は201台となっております。最も多く保有されているのはフォワーダ(積載式集材車両)、次に多いのがハーベスタ(伐倒造材機)となっています。高性能林業機械は、故障すると高額の修繕費がかかるため、日常の保守点検が重要ですが、オペレーターも点検の技能がなく、機械の維持管理がやりにくいとの声が多くあります。このため地元の林業事業体の希望により、プロセッサのメンテナンス研修会を実施しました。

ベースマシンの点検箇所を説明

研修会は、11月21日に最上地域林業振興協議会との共催で、最上町大字月楯の国有林において開催し、最上地域の林業事業体や行政関係者等29名の参加がありました。講師はレンタルのニッケンで高性能林業機械の整備に従事している職員が担当し、整備担当者の視点から、林業事業体で高性能林業機械を毎日使っている方々にいかに効率よく、故障を少なくし、上手に使うかアドバイスをしていただきました。

◆プロセッサ 

 プロセッサは、チェーンソーで伐倒した材の枝を払い、あらかじめ決められた長さに玉切りを連続して行い、玉切りした材の集積作業を一貫して行う高性能林業機械です。油圧ショベル(ベースマシン)のバケットの部分にプロセッサのアタッチメントを取り付けた構造で、点検研修もベースマシンとプロセッサに分けて行われました、

◆ベースマシンの点検

 今回研修会で使用したプロセッサはコベルコ建機のベースマシンで、リース期間が終了して現場から引き上げたばかりの機械でしたので、普段参加者が使用している状態のマシンでした。今回の機種はコベルコでしたが、参加者が作業で使っているマシンのメーカーを聞き、○○の場合はこうなっているなど丁寧に説明していただきました。法定の始業点検項目を説明し、特に注意を促したのは排気管周りのチェックで、作業の性質上切り屑や枝葉などの可燃物が貯まりやすく、近年多発している火災事故の事例を紹介してもらいました。

◆アタッチメントの点検

 プロセッサの機種はイワフジ社製

で、ヘッド部分の働きと必要なグリスアップの箇所について説明してもらいました。また、プロセッサの一番重要な動作である枝払いの働きをするカッターの研ぎ方について詳しく説明がありました。必ず外側から研ぎ、外側を研ぎ終わったらバリを落とすように内側を1mmほど研ぐ。外側だけ研ぐと材にカッターが食い込んでしまい切れないという説明でした。

プロセッサヘッドの点検箇所を説明

 研修が終わり、参加者からは「分からなかったことを親切・丁寧に教えてもらい、大変勉強になりました。」「よく現場で機械の不具合が発生するので大変ためになりました。優しく丁寧に説明していただいて助かりました。ありがたかったです。」などの感想が寄せられました。

〔山形県森林協会〕