山形県森林協会では、11月に鶴岡市関川で高性能林業新機械(タワーヤーダ)導入研修会を開催しました。山形県林業統計(令和2年)によれば、県内で高性能林業機械は204台が保有されておりますが、まだタワーヤーダは導入されておりません。それだけに今回の研修会は大きな関心を集め、林業事業体等から40名の参加がありました。
◆はじめに
温海町森林組合では、急傾斜地や作業道開設ができない場所などでの間伐や皆伐等の集約化を考えた場合、今後は、架線集材の作業システムも必要になるとの考えから、県外の架線系作業システムの先進地を視察してきました。
タワーヤーダをぜひ試用してみたいと考えていたところ、関係事業体から視察先と同機種を借りることができることとなり、十日間の操作研修を受講してタワーヤーダによる搬出技術習得に努めています。
搬器の動きを見守る |
タワーヤーダによる集材は、なかなか目にすることができないことから、温海町森林組合からの全面的な協力を得て開催いたしました。
◆ワンダー ファルコン
タワーヤーダ ワンダーファルコン(以下、ファルコン)は、オーストリアのマイヤーメルンホフ・フォレストテクニック社が、1962年自社で使うために開発して以来改良を重ねてきたタワーヤーダで、今回使用の最新機種発売以来、日本各地に導入されています。急峻な山岳地帯の多いオーストリアで開発改良され、日本向けに作られたクローラーモデルのファルコンは、今まで車両系集材が主であった山形県においても今後導入が期待される機種です。
研修会では、最初に温海町森林組合の担当者から、タワーヤーダが設置されている現場の状況、設置にかかった人工数や労働生産性などの説明がありました。架線延長170mで、タワーヤーダが設置された林業専用道まで引き上げ、プロセッサで造材する作業システムになっており、タワーヤーダの設置に2日、約6人の人工を必要としたことなどが説明されました。
次に、マイヤーメルンホフ・フォレストテクニック社の日本総代理店である緑産株式会社(神奈川県相模原市)からファルコンの特性と優れた性能が説明されました。ファルコンは、主索の最長距離800m程度、最大吊上げ荷重2t、主索から70mの横出し作業が可能であるなどの説明がありました。特に、材を吊下げる搬器については、エンジンが搭載されておらず、2本のワイヤーで走行させるシステムで搬器を軽量化し、高速運転を可能にしていること、吊上げる場所に自動的に停止するなど自動制御システムが組み込まれていることなどが説明されました。
説明後、タワーヤーダによる集材とプロセッサによる造材の一連の作業を見学しました。安全のため離れた場所からの見学でしたが、間伐材を吊下げて運ぶ搬器の速度に驚きの声があがっていました。
搬器の構造と3線システムを説明 |
◆おわりに
研修が終わり、参加者からは「タワーヤーダによる架線集材を初めて見て大変勉強になった」、「別の架線方式の研修もして欲しい」などの感想・要望が寄せられました。
〔山形県森林協会〕